誰かがやらなきゃいけない。
じゃあ、私がやる。
そう決めた瞬間に、“損得のざわつき”より後味を優先できる。
集団で動くと、どうしても誰かに余分な負担がのしかかる瞬間があります。手を挙げれば、「なぜ自分が…」と損した気分になるかもしれない。
それでも、手を挙げないことであとでモヤモヤする自分がいるなら——私は、やるを選びます。理由はシンプル。「自分の感情を守りたいから」。他人に強制するのでも、善人ぶるのでもなく、自分の後味のために、自分で決めた——この認識があると、不思議とスッと落ち着くのです。
この記事の内容
「損得思考」から「後味思考」へ
- 損得思考:いま払うリソース(時間・労力)だけで判断 → 引き受けると損、断ると得
- 後味思考:**“いまの負担”+“あとでのモヤモヤ”**まで含めて判断 → トータルで軽いほうを選ぶ
“あとでのモヤモヤ”は隠れコスト。ここを計上すると、引き受けるほうが総コストが低い場面は意外と多い。逆に、本当にキャパがないときは、引き受けないほうが後味が良いこともある。大切なのは、自分の後味で最適化すること
この「スッキリ」の名前
心理学の言葉で近いのは——
- 自己決定感(autonomy):自分の意思で選んだという手触り。
- 自己一致感(self-congruence):価値観と行動が揃ったときに生まれる整合の心地よさ。
- 行為者感(sense of agency):自分がハンドルを握っている実感。
calmspaces流にまとめるなら、「後味クリア」。
「損はしたかもしれない。でも自分で選んだ。だから心は軽い」という状態です。
後味で選ぶための3ステップ(30秒でできる)
STEP1|数える
- いまの負担(時間/労力/ストレス):□
- 引き受けない場合のモヤモヤ(罪悪感/後悔/苛立ち):□
→ 合計が軽いほうに丸をつけるだけ。
STEP2|言語化する(自分への宣言)
「私は後味を軽くするために、今回は○○を選ぶ。」
STEP3|境界を添える(やりすぎ防止)
- 「今回はやります。次回は交代制にしませんか?」
- 「ここまでは対応します。それ以外は要相談でお願いします。」
“自分が決めた”を守るための実践ヒント
- 条件付きで引き受ける:期限・範囲・成果物を最小で合意
- 見えない貢献を見える化:終わったら簡潔に成果を共有(「◯◯対応完了。所要45分」)
- 記録を一行残す:あとで自分が読めばいい。「今回は後味クリア/次回は交代制を提案」
- “静かなNO”の準備:「その日は難しいので、代替案はこの二つです」
- 役割のルール化:同じ人に偏らない**“くじ・ローテ”**を提案
善意で自分をすり減らさない。主体性と境界線のセットが“後味クリア”のコツ。
他人への感情が軽くなる理由
「全部、自分が後味のために選んだ」と位置づけると、
- 被害者意識が薄まる(選んだのは自分)
- 妬み・怒りが減る(他人の切り取られた一部では判断しない)
- 学びが残る(次回の条件・仕組み化に活かせる)
結果として、人に厳しく・自分に消耗という最悪コンボから抜け出せます。
ミニテンプレ(そのまま使える)
- 自分への一言: 「私は後味を守るために、自分で決めて〇〇を選ぶ。」
- 引き受けるとき: 「今回は受けます。範囲はAまで/期限は金曜でお願いします。次回は交代できると助かります。」
- 断るとき: 「今回は難しいです。代わりに資料の雛形を作ります/Bさんの調整なら可能です。」
- 終わったら: 「A対応完了(45分)。次回はローテ提案します。」
“後味クリア”のチェックリスト
- 「自分が決めた」と言えたか
- 範囲と期限を言えたか
- 見える化(短い報告)をしたか
- 次回の**仕組み(交代・ルール)**の一言を添えたか
- 終わって気持ちが軽いか
4/5で〇。満点じゃなくていい。軽さが続いていれば正解。
まとめ——損かどうかより、後味が軽いか
- 損得のみで決めると、あとで心が重くなることがある
- 後味思考に切り替え、「自分で決めた」を明確にする
- キーワードは自己決定感/自己一致感/行為者感=後味クリア
- 主体性と境界線のセットで、静かに気持ちよく生きていこう
だれかのため、はきっかけでいい。
最後は自分のために自分で決めた。それで十分、きれいな後味になる。